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2023年10月21日

講演会「人と、川・アユの関係をよくするために」 を開催しました ガチ!生物多様性塾2023

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講演会「人と、川・アユの関係をよくするために」 を開催しました ガチ!生物多様性塾2023

ガチ!生物多様性塾2023
9/10(日)に講演会「人と、川・アユの関係をよくするために」 を開催しました。

講演会「人と、川・アユの関係をよくするために」 を開催しました ガチ!生物多様性塾2023
講師は高橋勇夫さん(たかはし河川生物調査事務所
全国各地でアユの調査や、天然アユを増やす取り組みをされているアユの専門家です。

アユの生態をとおして見る、川と人の暮らしとの関係について、
また、各地で取り組んでいる天然アユを増やす取り組み事例について、
お話しいただきました。

「人と、川・アユの関係をよくするために」とタイトルを付けましたが、
ということは、現状は関係がとても悪くなってしまっていることの裏返し。

講演会「人と、川・アユの関係をよくするために」 を開催しました ガチ!生物多様性塾2023
(グラフはたかはし河川生物調査事務所HPより)
ダムの建設や護岸整備などによりアユにとっての生息環境が悪化し、
漁獲量で見ると、1991年をピークに減り続けてしまっているそうです。

それに対する対策として一般的に行われているのが「種苗(しゅびょう)放流」
テレビなどで鮎の放流をするイベントの様子が放映されているのを見たことがある人も多いと思います。
全国各地で現在も行われています。

高橋さんは、放流したらアユが増えるというのは本当だろうか、と疑問を投げかけます。

各地のデータを見てみると、放流しても漁獲量は必ずしも増えないし、むしろ放流することでのリスク(冷水病のまん延など)が見えてきているそうです。

どんな対策でも「効果」と「リスク」はあり、そのバランスをみて実施するかどうか検討するのがよいはずですが、
「効果」ばかりが調査され、報道などで強調されるのに対して、
「リスク」は報道されない、調査もされない、といったことがよく起きているとのこと。

アユを食べるカワウが待ち構えていて、放流されたそばから次々とアユが食べられていく、ということもよくあるようで、
それではカワウに餌やりしているのと同じでは・・・。

講演会「人と、川・アユの関係をよくするために」 を開催しました ガチ!生物多様性塾2023

一定の効果はありつつもさまざまなリスク、コストを抱える種苗放流一辺倒な対策に代わるものとして、
高橋さんは天然アユを増やす試みを全国各地で行っています。

その中から
・高知県の奈半利川(なはりがわ)
・北海道の朱太川(しゅぶとがわ)
の2つの事例を紹介していただきました。

奈半利川は、ダム建設によってアユが激減し、大量の種苗放流をしたが成果は乏しかったところで、
ダムを利用して利益を得ている電力会社と漁協が協力して、アユの産卵場を整備したりすることで、天然アユが増えることにつながった事例。

天然アユが増えたことによって、敵対しがちだった電力会社と漁協が仲良くなって、一緒にアユを食べながら慰労会をやっている写真にホッコリしました。


朱太川は、もともとアユの移動を妨げるダムや堰(せき)がなく、とても豊かな自然のなかを流れる川ですが、
地元黒松内町の地域多様性戦略にもとづいて、種苗放流をやめたり、護岸を撤去するなどしてより豊かな河川環境の保全に取り組んだり、と、
朱太川と天然アユを持続的に利用しようとする取り組みの事例。

環境保全の取り組みそのものを環境教育や、観光資源につなげていくという方向性にとても可能性を感じました。


川の環境や取り巻く状況が全く異なる2つの事例をご紹介いただいたことで、取り組みの様子がより立体的にイメージできました。

どちらの事例でも、問題に対して対策を打って何かしらの効果が見えてくると、同時に次の新たな問題が生じたりとか、
だいぶ良い環境になってきたな、と思ったところで台風が来ていろいろ流してしまった、とか、
一筋縄ではいかない自然相手の仕事の大変さを感じるとともに、それでも諦めず、粘り強く、ひとつずつ進めていくのが環境保全活動なのだな、と改めて思いました。

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完全攻略!鮎Fanatic 坪井潤一,高橋勇夫,高木優也 (著)
それら取り組みの詳細はこちらの本に詳しく載っているので、興味がある方はお読みください。


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ガチ塾恒例、グループワークの時間です。

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大谷翔平選手がやっていたことで注目されたマンダラチャートをやってみます。

「人とアユがいい関係である」を中央のマスにセットして、それに関する言葉を書きながら、思考を広げていきます。

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出来上がったのはこんな感じ


最後のまとめとして高橋さんから

奈半利川、朱太川両方とも天然アユを増やすことに一定程度成功しているが、
両方とも同じ「成功例」として評価してよいものだろうか
奈半利川のやり方ははたして持続可能だろうか

という問いかけがありました。
その問いに対する応答は、今後の宿題にしようと思います。

参加者のワークシートより
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次は9/24の外来種フィールドワークです


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おためしガチ塾
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里山フィールドワーク
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外来種フィールドワーク
受講生によるプレゼン大会




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